エコロに暮らそ第41回〜第45回
毎日新聞 2002.1.16
夜8時の大安売り
駅前のスーパーではほぼ毎日、夜8時になるとお惣菜が半額になる。常連客はこのサービスをよく知っていて、店内放送が流れる前から、売り場のそばをうろうろしている。そう書いている私もその中の一人だ。
実は、「賞味期限の短いものから買う」という友人がいる。彼女のごみ減らし活動の一つ。捨てられる運命にある賞味期限切れ食品を少しでも減らし、社会全体のごみ量を減らそうというスケールの大きな活動だ。
ということで、私もちょっとだけ見習っている。翌日まで持ち越すことのできないお惣菜をごみ箱でなく、おなかに入れてしまおうというもの。ただ、彼女も私も、いくら安くても不要なものは絶対に買わない。家から出すごみが増えては、本末転倒だからだ。
毎日新聞 2002.1.23
時計が動いた!
二男の腕時計の電池が切れたらしく、針が止まったまま動かなくなった。ちょうど、買い物に行ったディスカウント店の時計売り場に「電池交換」の札がぶらさがっていたので、買い物をしている間に電池の入れ替えをしてもらおうということになった。
ところが、二男が時計を出すと「できない」と言う。理由はよくわからないが、とにかくだめなのだそうだ。
あきらめて、今度は町の時計屋に持っていってみた。高齢の時計屋の主人は柔らかな布の上で裏ぶたを開け、「この時計の電池交換は難しいんだよ」と言いながら部品をはずし、電池を入れ替えてくれた。時計の針は元気に動き出し、再び二男の腕に戻っていった。
わが町には修理ができるプロの時計屋がある。うれしい出来事だった。
毎日新聞 2002.1.30
リサイクル製品を増やして
仕事で使う事務用品は、おなじみの文房具店にまとめて注文することが多い。その店は私がどんな文房具を欲しがるかをよく知っているので、同じ形の商品でリサイクル製品がある時には、ちゃんとそちらを届けてくれる。
先日、筆記具が欲しかったので、いつものように「再生材使用」とカタログに記載されてあるものを注文した。
ところが、届けに来た文房具店の人が、私の注文した品番はなくなってしまったと言う。リサイクル製品は売れないから作るのをやめたという話かと思い、「がっかりだわ」と言うと、リサイクル製品に一本化されたということだった。うれしい勘違いだった。
文房具類では、リサイクル製品の方が割高というものはほとんどない。もっと町中で売って欲しい。
毎日新聞 2002.2.6
輪島塗のマグカップ
結婚祝いのお返しに輪島塗のマグカップをいただいた。とても軽くて扱いやすい。漆器のカップとは、ずいぶんぜいたくだなあと思いながら、箱に入っていた商品説明を読むと、再生紙を素材にして作ったと書いてあった。
こんなすてきな古紙の再利用品を作っているお店に、ぜひ行ってみたいと思い立ち、東京のホテルニューオータニの中にある市中屋に足を運んだ。高級輪島塗漆器が中心だが、古紙製品のおわんやお皿も引けを取らない。
「漆器をもっと日常的に使って、もらいたくて、お手ごろ価格の古紙商品を作りました」と店主の市中洋子(70)。漆器はエコ商品の先駆者。修理すれば一生使えるし、焼却処分もできる。もう一度、日本の伝統品を見直したい。
毎日新聞 2002.2.13
現代の「落穂拾い」
フランスのアニュス・ヴァルダ監督の「落穂拾い」を見た。ミレーの絵のような、刈り入れ後の畑に残った麦の穂を拾う光景は今ではほとんど見られない。この映画は、現代版「落穂拾い」の姿を次々と映し出すドキュメンタリー作品だ。
規格にあわなくて畑に捨てられたジャガイモを拾う人たち。市場やスーパーのごみ捨て場から食料を集める人たち。賞味期限切れでも経験から、「まだ食べられる」と自信を持って言う人たち。それぞれの映像が私たちの暮らしの裏側を鏡に映しているように感じる。
黙々と拾っている人たちが、まさしく体を張って「エコロな暮らし方、してる?」と画面から語りかけているようで、思わず自問自答してしまう。東京・神田神保町の岩波ホールで上映中。